【福島】西村康稔経済産業大臣は、日産自動車が浪江町で行うモビリティの実証実験を視察した=写真。同社の内田誠社長がオンデマンド配車や地域の活性化を支援する拠点づくりなどを紹介し、震災からの復興に向けた街づくりの取り組みを共有した。内田社長は、地域との連携を進めながら、浪江町以外にも展開を模索していく考えを示した。
日産は、住民の帰還や地域経済再興のため、2020年から浪江町で自動車を活用した実証実験を展開する。モビリティを活用した新たな価値提供の施策で、オンデマンド配車で町内の移動を支援する「なみえスマートモビリティ」は、週平均で約300人が利用する。
22年5月には、住民とともに復興に向けた地域づくりを協議する拠点「浜通り地域デザインセンターなみえ」を開所した。ワークショップなどを実施するほか、住民の憩いの場として提供する。西村大臣はこれらの施設を見学し、内田社長から取り組みの説明を受けた。
内田社長は浪江町での実証について「(メーカーとして)街づくりに参画することは貴重な経験となる。サービスを提供することで地域の魅力を高め、自治体とわれわれがウインウインになることが望ましい」といい、今後も関連企業と連携して内容を充実させたい考え。
モビリティサービスの他地域への展開は、同社が行う電気自動車を活用した地域課題解決の取り組み「ブルースイッチ」を通じて地域別の課題を把握し、解決のための具体化を検討する。サービスの事業化については「タイミングや乗り越えるべき課題がある」とし、企業価値と事業性のバランスも考慮した上で慎重に進めていく。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月30日号より