経済産業省は、商用電動車を用いた「スマモビプロジェクト」を始めた。傘下の産業技術総合研究所(産総研)が、運輸事業者から車両や走行に関するデータ、インフラデータの受け入れをスタートさせた。産総研は今後、運行管理と一体化したエネルギーマネジメントシステム(EMS)や、シミュレーション技術を開発していく。乗用車と比べて稼働率が高く、エネルギー消費量が多い商用車の電動化を効率的に進めることで、運輸部門のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指す。
スマモビプロジェクト(スマートモビリティ社会の構築プロジェクト)は、政府によるグリーンイノベーション(GI)基金を活用した実証事業。2022年度から30年度までに、委託・助成合わせて約2700億円を投じ、運輸部門のカーボンニュートラルにつながるさまざまな実証を計画している。電動車両の普及とともに、稼働率やエネルギー効率を最大化する運行管理のシミュレーション技術などの開発も目標だ。
産総研に商用電動車のデータを提供するのは、関西電力、大阪市高速電気軌道(河井英明社長、大阪市西区)、ダイヘン、大林組、東日本高速道路(NEXCO東日本、由木文彦社長、東京都千代田区)、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT、中嶋裕樹社長、東京都文京区)、GO(中島宏社長、東京都港区)の7社で、追って他のスマモビプロジェクトに参画する運輸事業者も順次、データを提供していくという。
産総研が収集を開始したデータは、車両・走行データとして出力情報(発電機・燃料電池、電動機、蓄電池など)、エネルギー情報(航続可能距離など)、運行軌跡、走行状態(速度、走行距離など)を、インフラデータとして充電インフラ(充電器の仕様、設置場所、充電開始・終了時刻など)がある。
産総研は、これらのデータを使ってEMSや、EMSの構築に用いるシミュレーション技術を開発する。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月6日号より