経済産業省は、輸送分野の人手不足解消などをねらい構想する「フィジカルインターネット」の実現に向けて、北海道で初の取り組みを開始する。北海道経済産業局が物流企業間の連携を促す「北海道地域フィジカルインターネット懇談会」を立ち上げ、複数事業者で物流資源、データを共有し、配送効率を高める仕組みを全国に先駆け具体化する。経産省では、人口密度が低く輸送効率が悪化しがちな道内でデジタル化による輸送の協業化をいち早く進めると同時に、フィジカルインターネットのモデルケースづくりに役立て、全国展開につなげる考えだ。
道内でのフィジカルインターネットの展開では、まず加工食品や日用雑貨などの流通に関わる荷主や物流事業者間で連携を目指す。28日にも初の懇談会を札幌市内で開き、地域フィジカルインターネットに関する情報などを物流事業者や荷主に発信。事業者同士が情報交換できる場も設け、企業間連携などを後押し、各社の課題解決に役立ててもらう。
北海道内の物流は、全国の他エリアと比べ輸送効率の改善が特に難しいとされている。都市間距離が長く、各地域の人口密度が低いなど、高効率化の足かせとなる要因が少なくない。フィジカルインターネットを推進して複数荷主の商品を共同配送できる仕組みができれば、輸送力不足が懸念される「2024年問題」などの解決にもつながる。
フィジカルインターネットは、デジタル化を通じて運搬物資や倉庫の空き状況など物流に関わるデータを統合し見える化することで、複数事業者が倉庫や輸送車両などをシェアできる体制を整える構想。経済産業省では2040年までに実現する計画を立てている。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月3日号より