経済産業省は、電気自動車(EV)などの新車購入費用を補助する「クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金」の新しい制度の概要案を公表した。車両性能に加え、ディーラー数やアフターサービスの体制、急速充電器の設置基数といった「評価項目」を9項目設け、達成度に応じてモデルごとに補助金額を決める。EV市場の伸長を見据え、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から持続可能性のある車両に優先して補助する。
2024年度のCEV補助金は、完成車メーカーが国に提出する「先行投資計画」に基づいて車種ごとに補助金額を決める。具体的な制度設計は今後詰めるが、評価する基準案として9項目を掲げた。
航続距離や電費といった車両性能に加え、公共の急速充電器の設置数など、充電インフラも評価の基準とする。また、ディーラー、提携する整備工場の数など、アフターサービス体制も評価項目に盛り込む。整備士の育成に向けた取り組み内容も評価の基準とし、安全、継続的にEVを利用できる環境を整備する自動車メーカーが生産するEVなどへの補助を手厚くする。
環境性能面では、車両のLCAベースでの二酸化炭素(CO2)排出量の提出を求める。駆動用電池やアルミ、鋼板など、製造時のCO2排出量が多い材料を脱炭素化する施策なども評価の基準とするほか、電池のリサイクルやリユースに向けた取り組みも評価項目の一つとした。
このほか、サイバーセキュリティへの対応や、災害などの有事の際、EVを非常用電源として使用するための取り組みなども評価する。
現在のCEV補助金は、EVが85万円、軽EVとプラグインハイブリッド車が55万円、燃料電池車(FCV)が255万円をそれぞれ上限に補助している。給電機能など車両そのものの性能で補助額を決めているが、新しい制度では販売後の環境整備やリサイクルに向けた取り組みなど「LCA全体でサステナブルかつユーザーが安心して乗り続けられる車両を支援していく」(経産省自動車課)方針だ。
概要案はこのほど開いた産業構造審議会で示した。来年1月までに制度を決定し、完成車メーカーの申請内容を踏まえた上でモデルごとに補助額を決める。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月4日号より