経済産業省は、自動車部品のカーボンフットプリント(CFP)算出に向けた取り組みを開始する。すでに試行事業を始めている電池以外の部品にも算出対象を広げる。年内に一部の部品で実証を行い、2023年3月頃に公表予定のガイドラインに反映する。原材料調達から廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)ベースで二酸化炭素(CO2)排出量を削減することは、自動車産業のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に直結する。基準となるスキームを早期に整え、制度設計を急ぐ。
自動車と化学品の2領域でCFP算出のモデル実証を始める。自動車の領域では、特定の主要部品を製造するサプライヤー数社を選定し、排出量の算定を始める。対象部品の選定は今後実施するが、普及を見込む電動車に搭載する部品などが可能性として挙げられる。年内に一定の検証を完了し、来年1月にその結果を公表する。
経産省は、すでに車載用電池においてCFP算出の実証事業を行っている。製造時に大量のCO2を排出する電池の脱炭素化は、電気自動車(EV)を普及させる上で必要な取り組みになる。一方、自動車は1台当たり2万~3万点の部品が使われており、車両全体での脱炭素化を実現するには、電池以外の部品でもCFPを把握することが求められる。
経産省では22日にCFPの算定と検証に関する検討会を立ち上げた。今後、詳細を議論し、実証結果を踏まえた上で、来年3月をめどに「CFPガイドライン(仮称)」を策定する。このガイドラインが事業者のCFPの算定や検証、表示を行う基準の一つになる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月24日号より