経済産業省は、2022年度中に電気自動車(EV)の「充電インフラロードマップ(仮称)」を策定する方針を明らかにした。高速道路や集合住宅などにおける導入方針や、設備更新を踏まえた中期的に持続可能な充電網のあり方を示す考えだ。政府は30年度に全国で15万基の公共充電器の設置を目標に掲げるが、足元の整備状況は3万基程度にとどまる。ロードマップ(工程表)で具体的な普及シナリオを描き、官民一体で取り組みを加速する。
政府は、30年度での目標に掲げる充電インフラ15万基のうち、3万基は急速充電器とする方針だ。ただ、足元での総設置基数は3万基弱にとどまり、急速充電器も8千基規模と伸び悩んでいる。政府は30年に新車販売の2~3割をEVとプラグインハイブリッド車(PHV)に切り替えることを目指しており、電動車の確実な普及に向け、インフラ整備と両輪で進めていく。
これに向け、新たにEVの充電インフラに特化した工程表を今年度中に策定する。管理組合の決議が必要なマンションなど集合住宅への導入拡大や、高速道路での渋滞緩和に向けた規制緩和策などを検討していく。また、立地や用途に応じた急速充電器と普通充電器の導入工程の具体化や、更新投資を踏まえた設置後の運用方針なども盛り込む考え。
政府目標との整合性を取り、中期的に持続可能なインフラ環境を整備していく。有識者などの意見を踏まえながら、今後詳細を詰める。
公共充電器の整備状況は、21年度実績で、中国が約114万基、米国が約11万基、ドイツが約5万基となっており、日本は他国に遅れを取っている状況だ。政府としてインフラの整備方針を示すことで、EVをはじめとする電動車の普及を後押しする。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月29日号より