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自動車業界トピックス

経産省、商用車用水素STの優先整備へ「重点地域」 東名阪・福岡・福島が有力

商用FCVの普及へ

経済産業省は、今年度中をめどに水素ステーション(ST)を優先整備する「重点地域」を定め、財政支援などを手厚くする。東名阪地域に加え、産官学の足並みがそろう福岡や、国がエネルギー分野から震災復興を後押しする福島などが有力候補だ。商用車の水素利用を後押しするよう水素STを整備し、水素のモビリティ利用を軌道に乗せたい考えだ。

今後は、商用FCVの普及にも目配りしていく考え

週内にも公表を予定する商用FCV(燃料電池車)普及に向けたロードマップの中間とりまとめ案に盛り込む。重点地域は、東京や中部、近畿圏に加え、全国に先駆けて「福岡水素エネルギー戦略会議」を立ち上げ、産官学で関連技術の開発や普及に取り組む福岡県、国の「福島新エネ社会構想」のもと、水素社会の実現に向けてさまざまな実証が進む福島県などを重点地域に指定する方針だ。

また、トラックやバスなど商用FCVの普及にも役立つよう水素STを整備する方針。商用車の一部は積載スペースや稼働時間を確保する都合上、電気自動車(EV)よりFCVが向くとされる。乗用車と比べ、都市間や都市内など移動経路が明確で、大量の水素を消費する観点からも、水素STの採算性向上に役立つと期待される。経産省は、商用FCVの導入事業者らの要望も踏まえ、水素の充てんニーズが高い幹線道路を割り出して重点地域に加える考えだ。

水素STを対象としたインフラ補助金の拡充も検討する。現行制度では、1時間で500ノルマルリューベ(乗用FCV10~20台分)の水素を充てんできる設備に対し、最大で4億5千万円までを補助する。ただこれは乗用FCV向けの充てんを想定した仕様で、より大量の水素を扱う商用車向け水素STは建設費が従来の2倍になるケースもあるという。経産省としては、こうした特徴を踏まえ、適切な補助要件や補助額を今後、検討していく。

政府は、全国に約170カ所ある水素STを2030年までに1千カ所に増やす計画を持つ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月20日号より