経済産業省は、電気自動車(EV)の充電網におけるルールの整備に着手する。EVが大量に普及した際も安定した供給力や充電環境を保つため、充電時間帯の分散や充電制限などの仕組みをつくる。車載電池の活用に向け、EVに関連するデータ連携の可能性も探る。自動車メーカーなどを交えた会議体を来年度に立ち上げる。
将来的にEVが一般的になり、短時間で大容量の電力を充電できる「超急速充電器」が広まった際、充電負荷が増し、電力系統などに影響が出る可能性がある。安定した電力や充電網を構築するために制度設計に乗り出す。
具体的には、充電する時間帯が偏らないよう車両側で調整するシステムや、充電器への蓄電池の併設、充電制限をかける条件などについて検討する。充電器の販売時に、遠隔で充電速度などを制御できる機能を義務づけている英国などの事例を参考にするほか、電力料金について、一部地域で実証している「ダイナミックプライシング」の導入も視野に入れる。
具体的な制度設計は、来年度に立ち上げる「EVグリッドワーキンググループ(仮称)」で、完成車や充電器のメーカー、小売電気事業者などを交えて議論する。EVや充電に関するデータを共有できるよう、必要となるデータの種類や規格も検討する。
政府は30年までに、EV用の充電インフラ15万基の設置を目標に掲げており、このうち3万基は公共用の急速充電器だ。一方、足元の設置台数は政府目標の5分の1程度にとどまる。政府目標の達成に向け設置ペースを加速していくことが必要で、経産省は充電網のあり方や有効活用策も併せて検討する。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)2月24日号より