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自動車業界トピックス

経産省、車載電池のカーボンフットプリント 算出試行事業で把握

制度設計に反映

経済産業省は、電気自動車(EV)などに搭載する車載用電池におけるカーボンフットプリント(CFP)算出の試行事業を8月から始める。車種を限定し、原材料の調達から使用後処理までのライフサイクルアセスメント(LCA)全体でのCFPの把握に取り組む。まずは電池の生産などに用いる材料やエネルギーの使用量を明示化し、同事業のスキームが有効かどうかを検証する。年内に一定の検証を終え、早々に制度設計に反映していく考えだ。

EVなど電動車の電池のCFP算出試行事業に乗り出す(写真は日産「リーフ」の電池)

EVとプラグインハイブリッド車(PHV)に搭載されている電池パックを算定対象にする。電池の材料調達と製造段階、完成車工場から販売店に輸送する流通段階、販売後のユーザーによる使用段階、リサイクルやリユースなどの使用後処理段階の4つのフェーズでそれぞれCFPを算出する。

同事業に参加する完成車メーカーは対象となる車種を指定し、部品や材料の調達先であるサプライヤーに製造時の二酸化炭素(CO)排出量の算出を依頼する。サプライヤーは経産省が提示する材料や電力などエネルギーの活動量データを参考に、自社内におけるCFPを算出する。

流通段階では、輸送に使用される燃料に由来するCO排出量を算出する仕組みとする。日本自動車工業会のLCA評価法などを用いて算出する。

使用段階では、電力のCO排出原単位を乗じて、CFP算出を試みる。また、使用後処理段階では、リサイクル事業者などにおける算出手法の確立が困難なことから、今回の事業においては、データを基に一定の仮定を設定し、算出式の確立などにとどめる。

年内に中間報告を取りまとめ、2023年2月頃をめどに最終的な試行結果を出す方針だ。

欧州連合(EU)が24年以降にCFP表示の義務付けを検討しており、産業競争力を維持するため、日本でも数年以内にCFP算出の基準を確立する必要がある。今回の事業でまずは車載用電池で算出スキームの有効性を試し、ほかの部材や車体全体のCFP算出に広げていくと見られる。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月15日号より