経済産業省は、運輸部門の脱炭素化に向け、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づいて電気トラック(EVトラック)などの電動車や充電インフラの導入を促す検討に入った。来年1月までに具体案をまとめ、来春にも改正政令に基づく新制度を始めたい考えだ。
まず、年間の貨物輸送量が3千万㌧以上の「特定荷主」に対し、電気自動車(EV)用急速充電器の導入を義務化する。対象となるのは約800社で、自動車産業でも完成車メーカーや部品メーカーなどが対象になる見込み。設置数は、各企業が消費するエネルギー量に応じて決める考えで、100万㌐ジュールまでは1口を目安とする。導入支援の予算措置も検討する。義務化目標を達成できない企業には省エネ法に基づく勧告などを視野に入れる。また、燃料電池車(FCV)用の水素ステーションについても、FCVの普及状況を踏まえ、目標を設ける意向だ。
運送事業者が持つ小型トラックの電動化も進める。足元では、運動事業者などにおける電動車比率(保有ベース)は3%弱にとどまる。2030年までに全保有車の1割をEVやFCV、プラグインハイブリッド車(PHV)などの電動車に転換することを目標とする。新車販売においては、同年までに25%の電動車比率を目指す。新車販売の4台に1台が電動車になる計算だ。具体策はこれから詰める。
来年1月までに目標値を含む具体案をまとめ、改正省エネ法に基づく政令を閣議決定し、施行を目指す。
政府は「グリーン成長戦略」として、30年までに小型・中型トラック(積載量8㌧以下)の新車販売の最大3割を電動車にする目標を掲げる。荷主や運送事業者の対応を規制と一体で促し、早期の達成を目指す。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月6日号より