経済産業省は、グリーンイノベーション(GI)基金事業として、シミュレーション技術を活用した商用電動車のエネルギーマネジメント(エネマネ)技術の開発実証を始めた。走行データなどをもとに稼働率を最大化しつつ、電力需給を最適化する。政府は6月から電気(EV)トラックの購入補助金の公募も開始しており、車両導入から運行管理までを一貫支援し、商用電動車の使い勝手を高めて運輸部門の脱炭素化を目指す。
GI基金の予算として確保した1130億円の一部を充てる。今回、採用したのは①コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT、中嶋裕樹社長、東京都文京区)が都内と福島県内で始めた小型燃料電池(FC)トラックによる実証②大阪府などが大阪・関西万博で活用を見込む電気バスのレベル4(特定条件下における完全自動運転)の走行実証③ヤマト運輸などが群馬県内で行う小型EVトラックの大規模実証―の3件。いずれも車両の走行データを収集し、運行管理とエネマネの最適化に生かす。
商用車は走行距離が長く、電池と荷室の確保を両立することが難しいため、乗用車と比べて電動化が遅れている。ただ、運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約4割は商用車が占めており、脱炭素目標を達成するには商用車のEV、FCV化は必須だ。
複数の完成車メーカーが、今年から国内市場でEVトラックの販売を始め、政府もEVトラックなどの購入費用の一部を補てんする商用車版「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」を6月から始めた。車両の購入支援と合わせ、導入後の運行管理や配送計画の立案、充電タイミングの最適化まで総合的に支援することで、企業や運送会社が商用電動車を導入しやすくする。事業期間は30年度まで。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月4日号より