経済産業省が30日発表した企業活動基本調査(速報)によると、2021年度の製造業1企業当たりの売上高は前年度比8.8%増と1割に迫る上昇幅だった。コロナ禍による世界的なロックダウン(都市封鎖)が行われ、サプライチェーン(供給網)が寸断された前年度からの反動で増加に転じたと見られる。
全産業における1企業当たりの売上高は同5.2%増、営業利益は同41.7%増、売上高営業利益率は同1.1㌽上昇した。前年度は、政府による緊急事態宣言の影響で移動の自粛や購買意欲が冷え込んだことで消費が落ち込んだ。21年度は、こうした落ち込みの一部が回復したことが上昇の要因とみられる。
製造業に関しては、1企業当たりの売上高は同8.8%増、営業利益は同74.7%増、経常利益は46.6%増と大幅に伸長した。売上高営業利益率も同2.1㌽増えた。卸売業や小売業など他産業と比較しても、業種全体では伸び率が最も高かった。経産省の担当者は「前年度は特に前半は、新型コロナで供給網が停止し、製造業は大きなダメージを受けた。それが解消されはじめたことが伸長につながったのでは」と分析した。
21年度の自動車産業においては、半導体不足で工場の稼働調整を迫られることが多発したが、20年度を底にコロナ禍のダメージは回復しつつある。ただ、足元では原材料やエネルギー価格の高騰が企業業績に影を落としている。生産量が回復しつつある中、各社はアフターコロナを見据えた戦略の練り直しを求められることになる。
この調査は従業員50人以上、資本金3千万円以上の主要産業の企業約4万4千社を対象に実施し、約3万3千社から有効回答を得た。このうち製造業は約1万4千社が回答した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)1月31日号より