経済産業省と環境省は、使用済み自動車における資源回収インセンティブ制度を新設する。車両解体時などに発生するプラスチックやガラスの回収量に応じ、事業者にインセンティブを付与する。早ければ今年度にも一部で実証を開始し、早期に制度化する。同制度を通じて、ASR(自動車シュレッダーダスト)の削減と資源リサイクルの促進につなげる考えだ。
現在、使用済み自動車のプラスチックとガラスの回収は義務化されていない。経産省と環境省が昨年10月に開いた自動車リサイクルに関する合同会議の資料によると、解体事業者262社のうちプラスチックとガラスを回収した実績があると答えたのは70社と3割弱にとどまった。破砕事業者では9割以上の事業者がプラスチックの選別・回収をしたことがないと回答した。理由については「コストの問題」と回答した事業者が大半を占めた。
一方、廃プラスチックの受け入れ先だった中国が輸入の規制を始めたほか、国内のASR再資源化施設でも処理能力がひっ迫傾向にあり、資源リサイクルの拡大が急務となっている。
この現状を受け、自動車リサイクル料金を原資とした経済的インセンティブ制度を新たに設ける。従来から経産省と環境省の専門委員会で検討を行っており、このほど方向性を固めた。対象となるのはプラスチックとガラスの2点で、破砕前の回収、全部利用向け車両からの回収、破砕後の回収に対し、回収重量などに応じてインセンティブを付与する。
インセンティブ制度の詳細を盛り込んだガイドライン案を年度内に公開する。一部の解体事業者、破砕事業者においてまずは実証を行い、それを踏まえて制度導入を図る。
経済的メリットを与えることで、事業者の回収コストを低減し、資源回収量の増加を目指す。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月23日号より