7都府県への「緊急事態宣言」発令から2週間、全国に対象が広がってから1週間以上が経過した。日刊自動車新聞社は全国に先行して発令された7都府県の新車ディーラーに対して、新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響などについてアンケートを実施。緊急事態宣言後の店舗や本社機能の運営体制について、営業時間の短縮などの措置をとった販売会社は9割を超えていることが分かった。また、営業を続けていく上で感染予防策に必要なマスクや消毒液の確保が難しいことや、メーカーの工場停止による車両供給への影響を危惧する声などが上がり、各社とも対応に苦慮していることが浮き彫りとなった。
日刊自動車新聞社は、政府が7都府県に緊急事態宣言を発令した1週間後となる13日、対象地域の新車ディーラーにアンケートを行い、22日までに66社から回答を得た。
緊急事態宣言後、店舗や本社機能の運営体制を変更したのは93・3%に上った。多くの販社が店舗の営業時間を短縮し、従業員の時差出勤や本社勤務者の在宅、分散出勤など、感染リスク低減に乗り出している。埼玉県や福岡県では従業員の通勤を公共交通機関から社有車に切り替える販社もある。
アンケートに答えた全66社が、緊急事態宣言下でも時短対応や感染防止策を取りながら店舗営業を続けていることが分かった。各自治体では、社会インフラを維持するために自動車の車検や点検・整備を行う自動車ディーラーに休止要請は出していない。そのため、各販社は必要な感染防止策を取りながら営業活動を維持している状態だ。
コロナ禍で営業を続けていく中、さまざまな課題も見えてきた。現在直面している困り事についての設問では、感染防止策に必要なマスクや消毒液の確保に苦慮している声が多数集まった。福岡県の販社は「接客業であることからマスクや消毒液の不足は深刻。また、顧客がマスク未着用の場合など感染リスクを払しょくできず従業員も不安になる」、兵庫県の販社では「従業員の発熱など感染が疑わしい場合も検査を受けられず不安を払しょくできない」と、万全の対応ができない厳しい現実を語っている。
販売への影響を懸念する声も多い。国内自動車メーカー各社が工場を稼働停止して生産台数を減らす中で「顧客に納期を伝えることができない」(千葉県の販社)、「安定的な製品供給をお願いしたい」(大阪府の販社)と、車両供給への不安をにじませる。また、国に対しては新型コロナ感染収束後の需要喚起策として、補助金の支給や消費税減税を望む声が多く集まった。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)4月23日号より