帝国データバンクは、能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケート結果をまとめ公表した。能登半島地震により、企業活動に「影響がある(見込みを含む)」と答えた企業は有効回答(1238社)の13.3%で、地域別で北陸地方が43.2%と最多だった。被災地に拠点を持つ企業では建物・設備の損壊などの被害を受け、サプライチェーン(供給網)全体での影響も広がった。
「影響がある」と答えた企業のうち「すでに影響が出ている」企業は4.3%で、「影響が見込まれる」企業が9.0%。製造業で「影響がある」企業は13.3%で、このうち「すでに影響が出ている」が3.2%、「影響が見込まれる」が10.1%だった。北陸地方に本社がある企業は「一部、配管漏えいなどの被害があった」(富山県の精密・器具製造事業者)という。被災地域以外では「サプライヤーの被災により影響を受けている」(愛知県の輸送用機械・器具製造事業者)、「富山県の外注先に対する発注量を見直している」(岐阜県の鉄鋼・非鉄・鉱業事業者)など、間接的な影響が見られた。
今回の地震を機に、企業防災の重要性を実感した企業は94.9%に上った。重要だと感じた企業防災対策(複数回答可)では「飲料水・非常食などの備蓄」(39.2%)、「社内連絡網の整備・確認」(38.3%)、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(31.6%)が上位を占めた。「BCP(事業継続計画)自体の策定・見直し」を改めて考えた企業は20.6%だった。
帝国データバンクの調査によると、被害の大きい能登半島に本社がある企業は4075社で、営業所や工場を構える企業は890社にのぼる。
被災地域の復旧・復興が長期化すれば、事業に影響が出る企業は全国に広がる見通しだ。現在、影響がない企業でも「仕入れ先の工場などの稼働状況がどうなるかが懸念される」(愛知県内の機械卸売業者)など、今後の状況を不安視する声が聞かれた。
帝国データバンクは「災害復興を急ぐとともに、調達難に陥る企業では代替調達などの対策を実施するほか、関係機関によるサプライチェーン全体の影響の確認・適切な支援が求められる」としている。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月24日号より