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自動車業界トピックス

自動車メーカー、電力販売に相次ぎ参入

EV普及を後押し 脱炭素化へ新たなビジネスモデルを模索

自動車メーカーが電気自動車(EV)の普及を後押しするために電力販売に乗り出している。日産自動車は、実質再生可能エネルギー由来の電力販売を社員向けからスタートし、将来的にEVを活用した電力プランの取り扱いを開始する。トヨタ自動車は、EV向けに充電設備や電力プランを同時提案するワンストップサービスを展開済み。大型車メーカーでは、電気トラックを販売する三菱ふそうトラック・バスがオリックスと組んで環境配慮型電力の提供を開始する。各社はEVの販売を本格化させる中で、再エネ電力と組み合わせたエネルギーマネジメントの提案で脱炭素化に向けた新たなビジネスモデルを模索する。

EVの普及はユーザーの利便性を高める電力販売の提案が鍵

日産は2022年度初頭から関東圏に住む日産従業員向けに再エネ由来の電力を販売し、1年程度かけてEV活用に適したサービスを検討していく。日産系列の販売店では、自宅で行う「基礎充電」を推奨するため、19年から電力の代理店販売を行っており、こうしたノウハウも生かしていく。

トヨタは超小型EV「C+pod(シーポッド)」を導入した20年12月から「トヨタグリーンチャージ」の提供を開始した。現在はレクサス「UX300e」など対象車種を広げ、充電設備の設置から複数台の充電をコントロールするエネルギーマネジメントシステムや最適な電気プランなどを電力会社と連携してワンストップで提供している。

大型車メーカーでは、日野自動車が関西電力と「CUBE―LINX(キューブリンクス)」を立ち上げ、電気トラックの円滑な導入を目的に、電力契約などを含めたサービスをパッケージで提供する。三菱ふそうはオリックスと手を組み、他社に先行して市場投入した電気小型トラック「eキャンター」向けの再エネ由来もしくは低二酸化炭素(CO)排出の電力を提案し、物流事業全体での脱炭素化を後押しする。

22年はトヨタの「bZ4X」、日産と三菱自動車の新型軽乗用車など、EVが相次ぎ投入される。EVを利用するに当たっては住居や職場などで充電する「基礎充電」が欠かせず、充電器の設置やEVに適した電力プランの提案が求められる。充電そのものがガソリン車やハイブリッド車に慣れ親しんだユーザーがEVへ代替する際の障壁の一つとなるだけに、ユーザーの利便性を高める電力販売の提案力がEV普及の鍵を握りそうだ。

(福井 友則)

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)3月12日号より