自動車メーカー各社の定時株主総会が11日に開催するトヨタ自動車を皮切りに始まる。各社ともに開催規模の縮小など新型コロナウイルスに対する対策を取りながらの開催となる。コロナ禍で事業環境の先行きが見通せず、2020年度の株主配当も各社未定とする中、次世代技術への投資や固定費の削減策といった事業戦略の方向性を説明するとみられる。また、29日に控える日産自動車の株主総会では、5月下旬に公表した新中期計画と構造改革に対して株主がいかに評価しているかにも注目が集まる。
異業種の一部では、新型コロナウイルスを踏まえ、開催を延期する動きもみられるが、自動車メーカー各社はおおむね例年通りのスケジュールで開催する。ただ、コロナの感染を防ぐため、来場の自粛を要請しており、多くの企業が席数を減らして開催する。
日産は前回の定時株主総会に2814人が出席したが、席数を400席に減らす。三菱自動車も30席にとどめる。これまでも動画で総会の様子を中継している日産のほか、トヨタやホンダも後日動画などで株主総会の様子やメッセージを発信する考え。同時に最寄り駅から会場までのシャトルバスや土産品、カタログ配布などを廃止し、来場者の感染も防ぐ。
20年3月期の決算はスバルを除く上場自動車メーカー全社が減収減益となった。21年3月期もトヨタといすゞ自動車を除く7社が業績予想の公表を見送り、全社が株主への配当額も未定とした。足元の事業環境や今後の事業戦略のほか、サプライチェーンなどコロナで浮き彫りとなった課題への対策などの説明も求められそうだ。取締役選任議案では、トヨタ自動車がジェームス・カフナーシニアフェロー兼トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメントCEO、ホンダが三部敏宏本田技術研究所社長、スズキが鈴木敏明常務役員の取締役昇格を諮る。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)6月11日号より