自動車整備士養成校の入学者数が回復しつつある。日刊自動車新聞の調査で、2024年春の入学者数が「前年に比べて増えた」と答えた学校の割合が3年ぶりに過半数(約54%)を占めた。外国人留学生の増加が背景にある。関西のある整備学校は「留学生学科の定員拡大が回復につながった」とする。一方、日本人学生については少子化で「増加は望めない」(関東地区の学校)と悲観的な見方が出ている。
整備学校ではここ数年、外国人留学生の存在感が増している。調査でも「新入生が増えた」と答えた割合は21年まで上昇基調にあった。留学生は整備学校に入学する前に来日し、日本語学校などで1年程度学ぶケースが多い。コロナ禍で入国が厳しくなる前の学生が一定数いたことも増加を後押ししたようだ。ただ、入国制限が厳しくなると、まず日本語学校へ通う留学生が減った。22年はこの影響が大きかった。
24年は多くの学校で、日本人だけではなく、多くの留学生が志望する国家二級自動車整備士の資格取得を目指す学科で入学者が増えた。中には前年に比べ、5割ほど増加した学校もあった。
留学生を受け入れている学校のうち、およそ4分の1は新入生に占める割合が5割を超えた。九州のある専門学校では留学生の比率が約84%にものぼる。各校からは「日本人の整備士志望者が激減している」(東海地区の学校)、「ディーラーに卒業生を安定的に輩出するため」(関西地区の学校)などの理由が寄せられた。
今後の募集方針については「今と同じペースで受け入れたい」が約66%で最多となり、「増やしたい、募集を始めたい」の約32%を上回った。理由として「実習場のスペースや教材の確保、日本語教育が難しい」(関東地区の学校)、「日本語能力や授業料支払いなどへの懸念を払拭(ふっしょく)できない」(同)などの声が出た。
一方、入学者数が「減った」と答えた学校も約28%あった。入学者数が「変わらない」という学校も約13%あった。
自動車整備を学ぶ学科やコースがある専門学校、短期大学、職業能力開発機関など計78校を対象に3月から4月にかけて調査し、46校から回答があった。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月19日号より