自動車メーカーの大規模減産が相次いでいることを背景に自動車用触媒に使用するパラジウムやロジウムの原材料価格が下落している。足元でパラジウムは約1年ぶりの安値となり、ロジウムは3月の過去最高値と比べて5割の水準に落ち込んだ。半導体不足の長期化やコロナ禍による部品調達難で自動車向けの需要が減少し、価格が下落に転じた。

 パラジウムやロジウムは、プラチナとともに自動車用触媒に使用する原材料。パラジウムは全体の8割、ロジウムは9割が自動車に使用されるといわれる。いずれもコロナ禍からの自動車需要の回復などに伴って高騰し、パラジウムは5月に、ロジウムは3月に過去最高の水準に達した。自動車メーカーの4~6月期決算にも影響を与えた。

この一方、足元では半導体不足の長期化や東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による部品の調達難で自動車メーカー各社が減産を公表。トヨタ自動車は通期の生産台数を30万台下方修正した。スズキは通期で35万台、日産自動車は通期25万台の影響を見込むほか、ゼネラル・モーターズ(GM)が9月初旬に北米8工場で最長4週間にわたる稼働停止を発表するなど、世界的な減産トレンドが続いている。

こうした中でパラジウムの価格は下落局面に転じ、ニューヨーク先物市場では13日(現地時間)に一時2100㌦(1トロイオンス当たり)を切る水準にまで落ちた。これは約1年ぶりの安値となり、5月の過去最高値と比べると3割安になる。ロジウムも価格が下落しており、1万5千㌦(同)に迫る水準で推移する。

ただ、パラジウムやロジウムの価格が低下している半面、アルミやナフサ、石炭、電気自動車(EV)用モーターで使用するネオジム、電池に使用する炭酸リチウムなどの価格は上昇基調が続いている。原材料価格の上昇で、輸入車インポーターの一部では国内で販売する車両の値上げに踏み切った。原材料価格が自動車メーカーの業績を圧迫する状況はしばらく続きそうだ。