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自動車業界トピックス

自動車関連企業や団体・学校が小学生向けの夏休みイベント

整備士体験で興味の糸口を

最新鋭のポルシェ車に子どもだけでなく家族も興味津々

コロナ禍によるさまざまな制約が大幅に緩和された今夏、関東地区の自動車関連企業や団体、学校が、夏休み中の小学生を対象にした多くのイベントを開催した。目立ったのは、整備士体験イベントだ。子どもの安全に配慮しつつ、参加者にいかに楽しんでもらうかについて、主催者はさまざまな工夫を凝らした。

イベントの狙いとして、ある輸入車ディーラーは「自動車とサービス工場を親子で体感してもらうこと」を挙げた。子どもの時に自動車の魅力を肌で感じ取ってもらうことで「自動車に興味を持ってもらう糸口」にするという。加えて「車いじりに関心を持ってもらいたい」とも。整備の現場でタイヤ交換やエンジンルームなど自動車のメカニカルな部分に触れてもらうことで、子どもに将来の夢として整備士を検討するきっかけも提供した。また、イベント企画者は、一緒に参加する家族の存在も重要視した。子どもが進路を検討する際に、家族の意見に左右されることが多い。その家族に労働環境が大幅に改善したサービス工場を見てもらうことで、整備業のイメージ向上を狙った。

同じつなぎを着た学生から説明を受ける子どもたち

一方で、イベントを開催する上で重要なのは「参加者を飽きさせないこと」。ポルシェセンター目黒六本木認定中古車センターで開催されたイベント「ポルシェ・サマ―フェスティバル・フォ―・キッズ」では、人気テーマパークのような特別感を随所で演出した。同店3階のサービス工場への移動には、普段は来店客が利用することがない車両用エレベーターに乗り込んでもらった。到着先で、参加者は涼しくて整理整頓された工場内に驚くとともに、ポルシェ車に触れて目を輝かせる親子が多く見られた。また、日本工学院八王子専門学校で開催された「こどもチャレンジ体験&発見教室」では、整備体験の際に子ども用つなぎ服を用意。同じ服を着た同校の学生に教わりながらタイヤ交換することで、整備体験の実感をより味わえるように工夫を施した。

イベントで最も注意した点について、ある自動車整備専門学校の関係者は「子どもがけがをしないこと」を挙げた。整備工場は危険がつきもの。子どもから目を離さないように呼び掛けるとともに、運営スタッフが常に子どもの行動に注視した。先述の日本工学院でのイベントでは、有志の学生がマンツーマンで参加した子どもに整備の手順を説明した。

参加した小学生が将来的に今夏のイベントのことを鮮明に覚えていてくれるかは分からないが、イベント主催側は口をそろえて「今日の体験が記憶の片隅に残っていてくれさえすればよい」と語った。若者の車離れや整備士不足などの問題を抱える整備士業界の遠くない将来に、イベント主催者の努力が芽吹くことが期待される。(東京)

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月19日号より