自民党「カーボンニュートラルのための国産バイオ・合成燃料を推進する議員連盟」の甘利明会長らは13日、経済産業省を訪れ、国産のバイオマス(生物由来)燃料と合成燃料(eフューエル)の開発・普及に向けた要望書を中谷真一経産副大臣に手渡した。保有車両の脱炭素化を進める観点からも、eフューエルを普及させる政策パッケージなどを次期「エネルギー基本計画」に向け、早急にまとめることを求めた。
提言は、eフューエルの量産技術や商用化、海外での権益確保のため「企業や業界の垣根を越えた取り組みや国による支援が必要だ」とした。甘利会長は「日本全体で世界と戦っていく視点が大事となる。公正取引委員会には従来型の産業競争力上の独占禁止法ではなく、地球環境全体を考える視点の独禁法でみてほしい。経産省には省庁の枠を超えてリーダーシップをとってほしい」と語った。
G7(先進7カ国)広島サミットや関係閣僚会合では、世界全体で保有車両の二酸化炭素(CO2)排出を減らしていくことの重要性が共有された。各国の思惑はともかく、電気自動車(EV)の普及だけでは不十分で、バイオ燃料やeフューエルを含む持続可能なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料の促進が重要との認識で一致した。
こうした情勢も踏まえ、提言では、バイオ燃料の導入比率引き上げや、eフューエルを社会実装するための製造・流通、価格転嫁、供給量目標やインセンティブなど一連の政策パッケージを来年度にも予定されるエネルギー基本計画の改定に向けて早急にまとめることを求めた。需要や地域特性に合わせ、EVやeフューエルを利用する内燃機関を選択できる「多様性」を示すことが、日本の自動車産業の競争力強化につながるともした。
甘利会長は「EV推進を看板にし、それ以外をないがしろにするのは『庭先だけを綺麗にして、その先の皆が使う道路はゴミだらけ』と同じだ。日本は庭先も、皆が使う道路も率先して綺麗にする手法を取っていく」と語った。さらに「日本はEVでも世界トップを目指す。徹底的にやっていく」と付け加えた。議連の古屋圭司幹事長も「日本が最高のクリーンな内燃機関をつくっていくことが国益につながる」と語った。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月14日号より