トヨタ系ディーラーを中心に販売会社を統合する動きが活発化する中、統合効果を整備部門の高効率化や収益性向上につなげようとする取り組みが目立ち始めた。国内の新車市場が大きく変化すると予測される中、業務プロセスの統一で経営効率を向上する動きが少なくない。車検や整備などのアフターサービス部門は、国内保有台数の増加を背景に当面の入庫台数が堅調に推移する見込みとなっており、統合を整備部門のさらなる効率化や人材活用につなげようとする動きが増えそうだ。
板金塗装(BP)工場の集約化を進めるのが横浜トヨペット(宮原漢二社長、横浜市中区)など神奈川県でトヨタ系ディーラー3社を運営するウエインズグループ(宮原郁生代表)だ。同グループは23年に横浜トヨペット、トヨタカローラ神奈川、ネッツトヨタ神奈川が統合する計画となっており、すでに本部機能や役員体制を一本化している。
現在、神奈川県内で3社合わせてBP11工場を運営しているが、将来的には、大規模化した5工場に集約する計画だ。すでにBP独立拠点「秦野サービスセンター」(神奈川県秦野市)を開設し、グループ会社のBP入庫にも対応できる体制が始動。23年に向けて大型工場をさらに稼働させグループ全体での生産性向上やコスト圧縮につなげる。
さらに23年の統合に向けて業務内容が重複する部門の統合なども進めており、サービス部門も車検などでグループ各社のオペレーションを集約し、統一した整備手順の構築を進めている。
サービス部門を担当する矢島一豊執行役員は「3社の工場が業務改善に向けて同じ視点で話し合うには、オペレーションの統一、標準化が必要になる」とし、サービス収益の拡大に向けて3社それぞれのアイデアを集約しやすい環境を整える構えだ。
販社の統合に伴いサービス部門での対応が欠かせないのが、入庫受付から整備作業、納車までのオペレーションの統一だ。出身販社によって作業手順やメカニックの役割が異なれば、柔軟な人事異動にも支障が出かねず、整備部門における統合効果を十分に発揮できない恐れもある。
こうした中、東京日産、日産プリンス東京、日産プリンス西東京が合併して7月に誕生した日産東京は、3社間で異なっていた入庫受け付けやユーザーへの整備説明などといったオペレーションの統一に着手している。
これまで旧プリンス系2社では、入庫受け付けから整備説明までをフロントが一括して担い、担当メカニックは整備作業に専念する体制を敷いていた。一方、旧東京日産の店舗ではメカニックが受付から作業までを通して担当する仕組みで工場を運営。10月からは旧東日の仕組みをベースにしたオペレーションを構築し、各店への展開を始めた。
すでに東西2事業部のうち西部地区での導入を開始しており、来年度には東部地区にも新たなオペレーションに移行する計画だ。同社営業本部の宮田憲治サービス部長は「実際に作業するメカニックが直接対応した方が、付加価値商品の提案も含めてユーザーの納得感が高い」とし、オペレーションの統一を人材配置の最適化と収益向上につなげていく考えだ。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)12月16日号より