こども家庭庁は19日、送迎バスの幼児置き去り防止装置が2023年度末にほぼすべての対象車両に装着が完了する見通しを明らかにした。同庁が把握している対象の5万4345台のうち、装着率は99.9%となる見込み。政府は当初、今夏の完了を目指していたが、毎日使われている車両が多いため時間がかかり、6月末時点では55.1%にとどまっていた。ただ、保育施設や学校の長期休みなどを活用して装着が進むなどして巻き返し、23年度内に達成できる見込みが立った。同庁は「現時点で未装着の施設に対し、自治体を通じて対応を呼び掛ける」と、追い込みをかける考えだ。
10月末時点での装着率は72.5%。12月末までに装着すると回答した保育施設と合わせると、85.7%となっている。この半年で、装着が進んだ背景について、同庁は「夏休み期間に(装着が)進んだ」としている。前回公表時点では、「毎日バスを使用するため、(保育施設側が)装着する時間を確保できていなかった」が、バスを運行しない長期休みを生かして装着した施設が多かったようだ。
また、同庁は「国側が、装置を製造するメーカーや施工業者などに、早期の取り付けに向けた対応を依頼した」ことなども、装着完了の見通しが立つ要因となったとみている。今回の調査結果について、同庁は「6月末での装着状況を踏まえると順調に推移している」と評価した。
23年度末までに装着が完了しない0.1%分については、「神奈川県にある幼稚園の一つで、国土交通省が定めたガイドラインに合致しない装置を装着しているバスが2台見つかったため」としている。この園に対しては「文部科学省から、県を通じて、認定品の装着を促している」という。
送迎バスの幼児置き去り防止装置は、22年9月に静岡県牧之原市で発生した死亡事故を受けて、同年10月に政府が緊急対策を取りまとめていた。この対策の一環として、装置の装着を義務付ける関係府省令などを改正し、4月1日に施行していた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月20日号より