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自動車業界トピックス

通常国会が閉幕、与野党から脱炭素実現への政策提案が続々

方向性一致で活発な議論に期待

15日に閉幕した通常国会では、自動車産業における脱炭素化の実現と国際競争力の強化に向けて、与野党から政府への要望や政策提案が相次いだ。骨太の方針をめぐっては、電動車の普及戦略について「将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え」の一文が、与党からの指摘を受けて原文に盛り込まれた。野党の超党派議員連盟からも電動車の普及や開発の促進などの施策を取りまとめた議員立法が衆議院に提出され、閉会中審査を行うことが決定した。政策によって脱炭素化の実現手段と可能性の範囲を狭めるべきではないとの考え方は与野党で一致しており、今後の政策議論が期待されるところだ。

国民民主党や立憲民主党など野党の超党派議員連盟「自動車産業の未来を考える会」(磯﨑哲史会長)は、4月に議員立法を衆議院に提出。電動車の普及促進や合成燃料、水素を活用した内燃機関の実用化を促進するなど6つの施策をまとめた。ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点による自動車産業の脱炭素化を法文上初めて明記した。

同法律案は21年6月にも提出したが、衆議院の解散で廃案となったため、再度取りまとめた後に各党で手続きを行って提出した。同議連の磯﨑会長は、4月の同法律案提出後の会見で「カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車産業からの視点で政府としてやるべきことは何なのかを法律の形に整えた」と説明した。

同法律案の政策段階で自動車産業の労働組合とも意見交換を行った際、ガソリン車と比べて部品点数が少ない電気自動車(EV)の普及による雇用への影響を危惧する声も多かったことから「失業なき労働移動を取り組むことも盛り込んでいる」(磯﨑会長)。

自民党でも「未来社会を創出する、バッテリー等の基板産業振興議員連盟」が、EVの基幹部品となる蓄電池について日本の技術力の高さを生かした国際ルールづくりなどを政府に求めた。また「自動車立地議員の会」も、すそ野が広い自動車産業の雇用を維持できるよう政府への要望書を提出するなど雇用支援を訴えている。

自動車産業の未来を考える会の磯﨑会長は、記者会見で「自動車産業など各産業で独自にカーボンニュートラルを実現することは難しい。さまざまな点で政府が支え、インフラを整え、方針を明確に示していくことがあって初めて、2050年のカーボンニュートラルの実現につながる」と官民連携の重要性を強調した。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月18日号より