中国での日本車の販売不振が部品メーカーの業績の足を引っ張っている。2023年4~6月期は車両生産や販売の増加で業績も回復傾向だったが、日系メーカーを主取引先とする企業を中心に中国事業は不振だ。通期見通しでも中国事業を懸念材料として挙げる部品メーカーが多い。反転攻勢を誓う日系自動車メーカーだが、結果が出るのはもう少し先になりそうだ。
トヨタ自動車の23年4~6月期連結販売台数は232万6千台(前年同期比15.5%増)と過去最高だった。中国販売も49万9千台(同8.6%増)と伸びたが、急激な電気自動車(EV)シフトの煽りで「現地生産のコンベンショナル車やハイブリッド車(HV)の販売が厳しい。bZシリーズもじわじわ出ているが、規模はまだ大きくない」と担当者は話す。
トヨタ系部品メーカー大手7社、中堅6社は全社が増収だった。一方、中国事業の不透明さに懸念を示す声も多い。通期の業績見通しを上方修正したフタバ産業の大橋二三夫代表取締役は「日本と北米はプラスだが、EV化でコンベンショナル(従来型)が芳しくない中国はマイナスに見ている」と語った。豊田自動織機の高木博康執行職も「中国メーカーのEVは強い。長い目で頑張っていくしかない」と話した。
日産自動車の4~6月期における中国での生産台数(東風汽車除く)は20万4千台と、前年同期から4分の1以上減った。部品メーカーへの影響は大きく、ファルテックや河西工業などが中国を含むアジア事業で減収となり、ユニプレス、ヨロズ、アルファが部門赤字を強いられた。
下期にかけても「中国は厳しい状況が継続する」(ファルテック)、「今後も中国市場での低迷が続く」(ヨロズ)と各社は見通す。日産は中国市場の低迷などを踏まえ、通期販売見通しを当初予想比で30万台減の370万台に見直しており、部品各社も固定費の削減など対応を迫られる。
ホンダの4~6月期の中国小売り台数も30万9千台(同5・0%減)と振るわない。エフテックやエイチワンなどが中国を含むアジアセグメントで営業損失を計上。販売台数の減少に加え「機種ミックスの悪化や競争激化で付加価値率が低下した」(エイチワン)という。
トヨタ、日産、ホンダなど日系各社はEVの投入を前倒ししたり、開発の現地化を急いだりしている。ただ、効果が出るのはまだ先だ。部品各社は日系メーカーのこうした動きに対応する一方、地道な原価低減や現地調達率の向上、地場メーカーの開拓といった努力も求められそうだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月25日号より