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自動車業界トピックス

関東と近畿で「車座対話」開催、官民で整備士の魅力発信

現場の課題など広く意見交換

官民による自動車整備士の魅力と重要性を発信する新たな取り組みが全国で始まっている。近畿運輸局(金井昭彦局長)と関東運輸局(新田慎二局長)は、現役の自動車整備士と運輸局関係者らとの「車座対話」を初開催した。自動車整備士の仕事について広く一般の人々に興味・関心を持ってもらうとともに、自動車整備における課題などの意見交換を行うことで今後の行政の取り組みに反映したい狙いだ。深刻化している自動車整備士の人材不足を打破するためにも、官民協働の新たな活動と情報発信の強化が欠かせない。

現役整備士との車座対話で、普段はなかなか聞けない話を直接聞くことができた

両運輸局ではこれまでにも、自動車整備士の人材不足対策として高校訪問を行い、自動車整備士の職業としての魅力を説明するなどしてきた。今回の企画立案については、1月に岸田文雄首相が都内で自動車整備士との車座対話を行ったことを参考にしたという。

近畿運輸局は12日、同局で車座対話を開催。管内の自動車整備士5人と村井章展自動車技術安全部長ら同局関係者が出席し、車座対話を通じて待遇や現場で抱えている課題などの意見交換も行った。

自動車整備士の魅力発信に加えて、「(意見交換を通じて)普段はなかなか聞けない話を直接聞くことができた」(自動車技術安全部整備課)と、開催の意義と成果を強調した。

関東運輸局では、15日に山梨県甲府市内で開かれたイベント「車ふれあい祭り2022」の中で、県内の自動車整備士5人と同局の家邉健吾自動車技術安全部長、加野島仁山梨運輸支局長が出席して車座対話を行った。「自動車技術の進化に対応する自動車整備士の魅力と重要性」をテーマにそれぞれ意見を交わした。

同イベントは、山梨県自動車整備振興会・同商工組合(小林達也会長・理事長)と山梨運輸支局が主催したもので、イベントなどを通じて自動車整備の重要性をアピールした。

今後の予定について、両運輸局の自動車技術安全部整備課は未定とするが、継続することが自動車整備士の情報発信強化につながるとの共通認識だ。ただ、業界団体などの協力も必要なことから、初開催の成果などの総括を終えた後に次回の検討に入る見通しだ。

自動車整備事業の従業員数はほぼ横ばいで推移する一方、2022年度の自動車整備要員の有効求人倍率は4.50倍(全職種は1.01倍)と上昇しており、整備業界の人材不足が顕在化。自動車整備士を志す若者も減少しており、それらの解消を図ることが喫緊の課題となっている。国土交通省では、6月に官民による「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係るワーキンググループ」を設置し、短期・中期的に実施する人材確保・育成策の検討を進めている。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月17日号より