【神戸】阪神・淡路大震災から17日で29年。30年の節目を来年に控え、阪神高速道路(吉田光市社長)が発生前日の16日に災害対策訓練を実施し、西宮市甲子園浜の5号湾岸線高架下で道路啓開作業を行った。近い将来に見込まれる大規模地震を想定し、緊急車両などの走行ルートを確保するため、横転した車両の引き起こしや資材を活用した道路の段差の復旧訓練などに取り組んだ。同社グループ社員を含めて50人が作業に参加した。
今回の取り組みは、今後40年以内に高確率で発生する南海トラフ地震などの大規模災害を想定したもの。阪神高速道路は1995年1月の阪神・淡路大震災で高速道路が倒壊するなど甚大な被害を受けた。今年1月には能登半島地震が発生しており、速やかに道路上の安全を確保する訓練を実施することで災害への備えを強化した。
当日は横転車両を引き起こし、高速道路上に滞留する車両を移動させることで車両の走行路線を確保した。さらにドアロックやキーの有無などの条件を与えられた車両7台を、社員が迅速な作業で移動させた。
大災害で道路が破損し、車線に段差が発生した場合の対策訓練も実施。高速道路ジョイント部の段差に応急復旧資材を用いて路面を平たんに戻した。装置は軽量ながら10㌧までの車両が通行でき、10~20分で展開可能だ。
同社の保全交通部防災・危機管理室の木下義康室長は「大地震で滞留車両が発生した際、私たちが直ちに復旧に取り組むことで多くの人命を救うこともできる。利用者も道路啓開について協力してほしい」と話している。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月23日号より