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自動車業界トピックス

静岡整振、整備士の魅力発信 将来性・やりがいをアピール

エアモビリティとの親和性も

マークファイブは子どもたちも興味津々

【静岡】静岡県自動車整備振興会が、モビリティの多様化に連動した自動車整備士の魅力向上に取り組んでいる。将来は自動車だけにとどまらず、ドローンや空飛ぶ車などエアモビリティなどの点検整備を担うことも想定した上で、人やモノの多様な移動手段を下支えする将来展望のある職種であることをPRする。静岡県は航空宇宙産業に対する手厚い支援を用意するなど、県内企業のビジネスサポートを強化している。静岡整振はこうした地域特性も背景に、異業種とも連携した取り組みを強化。自動車整備士を目指す若者が増える環境作りを進めていく。

JR浜松駅近くのイベントスペース「浜松市ギャラリーモール ソラモ」に1機の空飛ぶ車が展示された。2018年に設立されたテトラ・アビエーションが開発した一人乗り用のe

バーチャル技術を使って整備士の仕事を伝える取り組みも行われた

VTOL(電動垂直離着陸機)「Mk―5(マークファイブ)」で、生憎の雨模様にも関

わらず多くの通行人が足を止め、興味深そうに機体に見入っていた。

このマークファイブ、空飛ぶ車の展示イベントに出展されたものではない。静岡整振が自動車整備士や業界を広く市民に知ってもらうために開催した「エンジョイ・カードクターinソラモ」に出展されたものだ。

自動車整備イベントと空飛ぶ車。まったく関係なさそうに思えるが、静岡整振の坂井光藏副会長は「自動車整備士の未来が見える展示にした」と解説する。坂井副会長が思い描く青写真。それがエアモビリティの日常点検や整備を一級自動車整備士が担う姿だ。

もちろん現時点では想像の域を抜けない。ただ、エアモビリティが広く一般に普及した将来においては、電気自動車や燃料電池車、水素自動車といった次世代自動車の整備業務も担う一級自動車整備士が、人とモノの新たな移動手段をアフターサービスの側面から支えるプレーヤーの1つに位置付けられる可能性もあると見ている。

静岡整振が自動車整備イベントで空飛ぶ車を展示したのは、まさに自動車整備士の担う業務が陸から空へと拡大展開することを視野に入れていることの証。地元のディーラーや自動車整備士養成校などが、子どもたちに整備士の魅力を伝える同じスペースに展示することで、自動車整備士の未来は広がっていることをイメージできるようにした。

昨今は、自動車整備士をめざす若者が減るだけでなく、自動車整備士という職業そのものに対する保護者や学校関係者の印象も決して良くはないのが実情だ。だからこそ、坂井副会長ら静岡整振は、今後も空飛ぶ車の展示などを通じて自動車整備士の将来展望や仕事の広がり、重要性を訴求することで、多様なモビリティの整備士を目指す若者が少しでも増えるための周辺環境作りを進めていく。(水町 友洋)

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月12日号より