ハイブリッド車(HV)のリビルト電池に対する需要が高まっている。リビルトメーカーには部品商などから在庫に関する問い合わせが相次いでおり、旺盛な需要に供給が追い付かない状況が発生している。HVは省燃費性能が評価され、国内市場で大きな存在感を示している。一方、足元では半導体不足の影響などからHVを含む新車の供給が遅れがちで、代替の先延ばしや中古車を選ぶ動きも目立っている。このため、性能が劣化した駆動用電池を新品より安価なリビルト品に交換する動きが加速しているとみられ、当面は入手しにくい状況が続きそうだ。
「部品商や解体業者からの問い合わせの増加に供給が追い付かず、欠品が多く発生している。入手しても在庫がすぐに底をついてしまう」と、関東地方のあるリビルトメーカーの営業担当者は語る。この会社は3年ほど前からHV用のリビルト電池を取り扱っているが、2021年の夏ごろから欠品する商品が増えてきたという。
昨年は自動車メーカーで完成車の減産が顕著になったタイミング。半導体不足に加え、東南アジアでの感染症拡大で一部部品の調達が困難になったことが響いた。新車の供給遅延は下取車の入庫減少につながり、中古車の流通量が減り、価格も上昇している。このため、「以前に比べて、車の調子が悪くなったらすぐに買い替えるのが難しくなっている」(リビルト電池メーカー)ことから、「修理する以外に選択肢がないケースが増えている」(同)。HVなどの電動車は駆動用電池をリフレッシュすることが、大幅な性能回復につながることから、リビルト電池の奪い合いが激しくなっているとみられる。
HV用のリビルト電池が不足している背景には、日本の市場構造もある。HVの人気は世界の中でも高く、日本自動車販売協会連合会(加藤和夫会長)が発表した今年1月の燃料別乗用車販売台数によると、HVは約9万台で新車販売全体の半数近くを占めている。このため、そもそも補修用としてHV用のリビルト電池の潜在需要が高い。
さらに、HVの代表格であるトヨタ自動車の「プリウス」は人気が高かった3代目の発売から10年以上が経過。未だにかなり多くの保有があるとみられ、こうした人気モデルの駆動用電池が交換期に入っていることも要因の一つになっているとみられる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月26日号より