トヨタ自動車は8日、2020年3月期の業績見通しが減収増益になるとの見通しを発表した。19年3月期の売上高は30兆円を初めて突破するなど足元の業績は堅調だが、北米市場の見通しが不透明なことなどから売上高に関しては慎重な見通しを示した。一方、収益面では原価改善を推し進めることで1100億円を上乗せし営業増益を見込む。グループ総販売台数は、主に中国の販売増によって13万7千台増の1074万台と、過去最高を更新する見通しだ。
20年3月期予想は、売上高が前年比0.7%減の30兆円、営業利益が3.3%増の2兆5500億円、当期純利益が19.5%増の2兆2500億円。中国の合弁会社分などを含まない連結販売台数は2万3千台増の900万台を予想する。地域別では日本と北米がマイナスとなる一方で、欧州とアジアを伸ばし全体でプラスを見込む。
東京本社で行った決算会見で小林耕士副社長は「原材料価格の上昇やCASE関連の投資がかさむが、時間をかけて原価低減をしっかりやっていく」と述べ、これまで以上に稼ぐ力を高めていく方針を示した。販売奨励金(インセンティブ)の影響で利益率が低い北米市場については、前期から取り組んできた車種と地域ごとに細かく付与する戦略を推し進めて、21年までに営業利益率を8%まで引き上げる考えだ。今期の営業増益要因は為替・スワップ等の影響を除き750億円を見込むが、原価低減を推し進めることで将来的に「4千~5千憶円まで持っていきたい」(小林副社長)と述べた。
19年3月期は、売上高が2.9%増の30兆2256億円と、過去最高を更新した。営業利益は2.8%増の2兆4675億円、当期純利益は24.5%減の1兆8828億円。グループの販売台数は1万3千台増の897万7千台、中国の合弁会社も含めたグループ総販売台数は16万2千台増の1060万3千台と過去最高となった。販売増や原価改善によって売上高、営業利益が増加したが、当期純利益は米国の減税効果で押し上げられた前期からの反動でマイナスとなった。
※日刊自動車新聞2019年(令和元年)5月9日号より