新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、全国の自動車大学校・整備専門学校にも広がっている。日刊自動車新聞が、全国自動車大学校・整備専門学校協会(JAMCA、中川裕之会長)に加盟する49校に対して行った緊急電話調査によると、卒業式を縮小もしくは中止すると答えたのは46校に上った。入学式については感染症の収束時期が見えないこともあり大半の学校が検討中と回答した。学生にとって、学校生活の集大成ともいえる「自動車整備技能登録試験」を目前に控え、各校は異例の対応に迫られている。
「保護者や学生にとっても重要な節目となるイベント。できる限り開きたい」「22日に国家試験を控え、大人数が集まる式典を開いてもいいのかという懸念がある」。学校関係者からは人生の節目を迎える学生への思いと、新型コロナウイルスに対する警戒感が複雑に入り混じる心境が語られた。
卒業式を「縮小する」と回答した学校ではさまざまな感染防止策を取る様子が浮き彫りに。マスク着用の推奨や座席間隔の拡大、国歌斉唱の取り止め、ドアや窓の開放などにあらゆる対策を講じた上で式典を実施する学校が多い。
西鉄自動車整備専門学校は卒業式に出席したいという保護者の意思を尊重した措置を取る。学生の保護者1人に限り、式の様子を別室でビデオ映像を通じて観覧できるようにした。
卒業式は学校生活を締めくくる一大イベントだ。それだけに、学校にとっても中止を決断することは苦渋の決断となる。
全国に5校ある日産学園のなかで唯一、式の中止に踏み切った日産京都自動車大学校(田中篤司校長、京都府久御山町)。関係者は「卒業式を挙行したい気持ちはもちろんある」との思いを明かしながら、ただ一方で「国家試験の数日前に、保護者や学生が一堂に会する式典を挙行することを望んでいるのか。こう考えると中止したほうがいいとのではと、今回の決断に至った」と経緯を話した。
新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しは未だ見えない。大半の学校は入学式についても対応を決めかねている状況だ。その中で、ホンダテクニカルカレッジ関東は会場を校内に変更し規模の縮小を決定。東京工科自動車大学校は入学式を中止し、代わりに新入生ガイダンスの内容拡充を検討している。
オープンキャンパスや学校説明会についても、延期や中止などの措置を取る学校が多い。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)3月9日号より