「ジャパンモビリティショー2023」(日本自動車工業会主催)が5日、閉幕した。6日の自工会発表によると、11日間の累計で110万人を超える来場者を集めた。約130万人だった前回のショーよりやや少ないが、前回はお台場エリア一帯が会場で「密度では今回の方が多く感じる」(自動車メーカー幹部)という見方も。来場者からは「車離れと言われているが、これほど多くの人が来ているところを見ると、注目度は高い業界ではないか」(40代女性)との声が聞かれた。物価高の中で新車の値上げを心配する声も聞かれた一方「マニュアル(手動変速車)車を増やしてほしい」(60代女性)、「内燃機関車のサウンドが好き。静粛性の高いEV(電気自動車)の台頭は寂しい」(20代男性)との声もあった。
自工会によると、11日間で約111万2千人が来場し、目標の100万人を上回った。1日当たりの来場者数は、4月に中国で開かれた「上海モーターショー」(約9万人)を超えたという。各社のブース周辺では多くの人だかりができており、終日「クルマを見ている人を見ている」状態のブースもあった。
異業種と連携してつくり上げた主催者企画「トーキョーフューチャーツアー」には、約50万人が来場した。自動車メーカートップのほか、官民のキーパーソンを交えて開いたトークショー「ジャパンフューチャーセッション」も約4万2千人が視聴した。家族連れの来場も多く、「キッザニア」との商業体験イベントには約1万3千人の子供が参加した。「子どもが整備に興味を持ち、体験を楽しんでいた」(30~40代夫婦)との声も聞かれた。
最終日である5日のトークショーに登場した豊田章男会長は「日本で100万人を集められるイベントは甲子園とモビリティショーくらい。スタートアップとのマッチングも成果が出た」と語った。
自動車部品メーカーに勤めているという30代男性は「職業柄、中国の自動車市場をよく知っていることもあり、比亜迪(BYD)などと比較して、日本メーカーのEVが世界市場で勝負できるか疑問がある」と心配顔。ただ「燃料電池車や水素エンジン車は日本メーカーが優位だと感じており、情勢しだいでは勝機が見える」と語った。会社員の20代男性は「静粛性の高いEVの台頭や普及は寂しい」と言いつつも「過去の名車をEVにコンバージョンされたら興味を持つと思う。当時のエンジンサウンドも再現されていればなお良い」と笑顔で話した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)11月07日号より