2023年度の新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)が、前年度の実績を上回る可能性が濃厚となった。23年4月~24年2月の累計販売台数は、前年同期比6・9%増の407万6963台(2月は速報値)。24年1、2月の販売台数はダイハツ工業の生産や出荷が止まったことで急落。23年末時点で約39万台あった前年同期との差は約26万台までに縮んだが、通年でプラスを維持できそうな水準を保っている。ただ、販売の最盛期である年度末商戦に入っているものの、ダイハツ車以外でも販売実績が伸び悩む銘柄もあり、今後の市場の動きに懸念も出ている。
3月実績が2月と同程度の落ち幅の2割減だった場合、単純計算で23年度は約453万台となる。22年度は約438万台だったため、このペースであれば前年超えには十分な余力があるとみられる。また、24年に入って最大の落ち込み要因だったダイハツ車も、3月以降は生産再開する車種が増える見通し。登録や届け出がうまくいけば、想定よりも上向く可能性もある。
ただ、今の新車市場はダイハツ車だけが不安要素を抱えるわけではない。ホンダは新型「N―BOX(エヌボックス)」=写真=を23年秋に発売したばかりだが、24年2月の軽販売台数は前年同月を下回った。一部の系列ディーラーからは先代と比べて「新型車の出足が鈍い」といった声が出ている。N―BOXは新車市場全体をけん引しているだけに、仮に不調となれば、その影響は大きい。
また、トヨタ自動車も2月の総販売台数が前年を割り込んだ。ダイハツからのOEM(相手先ブランドによる生産)車の販売が止まったことが最大の要因だが、それ以外の小型車「ヤリス」「アクア」が大きく台数を落とした。ある販社のトップは「受注を停止している車種も多く、年度末商戦も盛り上がりにかける」とため息をつく。
ただ、ダイハツ車が復調すれば、新車市場を刺激するのは間違いない。あるダイハツディーラーの幹部は「3月の販売台数は少し回復するのではないか」とみており、顧客対応に力を入れるなど今後の挽回への準備も進めている。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月4日号より