電気自動車(EV)などの新車購入費用を補助する国の「クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金」制度が4月から新しくなる。電費や航続距離といった車両の性能に加え、製造元の充電網や整備拠点の体制、電池リサイクルの取り組みなどを考慮して補助額が決まる方式に変更される。補助対象車の大半で補助額が変わることが予想される。経済産業省は3月中旬にも車種ごとの補助額を公表する予定だ。4月1日以降に登録・届け出された車両から適用される。
経産省は、2024年度のCEV補助金の財源として、23年度補正予算で1291億円を手当てした。執行に合わせ、新たな補助額の算定方法を導入する。
現在は、EV85万円、軽EV・プラグインハイブリッド車(PHV)55万円といった上限額の中で、給電機能の有無などを考慮して補助額が決まっている。小売価格(消費税別)が840万円以上の車両は補助金が一部減るが、メーカーや車種で補助額に差がつくことはなかった。
4月から適用する新制度では、車両の性能や整備網、リサイクルへの取り組みなど、さまざまな項目で製造元である完成車メーカー、インポーター(輸入事業者)の取り組みを評価し、専門家による審査委員会で補助額を決めていく。具体的には「電費・航続距離の向上」「自社の販売数に応じた急速充電器の整備」「修理・メンテナンス等のアフターサービス体制の充実」「車両のサイバーセキュリティ対策」「蓄電池や鉄鋼等を含めたライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出削減」「バッテリーのリユース・リサイクル」「取引適正化などの取り組み」などの取り組みを総合的に判断する。
補助金の上限自体は変更しないものの、評価項目を細分化したことで、大半の車両で補助額が変わることが見込まれる。対象車種の補助額の公表は3月中旬以降で、新制度の対象となるのは4月1日以降に登録・届け出された車両からとなる。
年度末商戦を控える中、対象車種を取り扱うディーラーなど販売店は顧客への丁寧な説明が求められそうだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月2日号より