アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれていた第28回「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)」は13日、成果文書を採択して閉幕した。文書には、再生可能エネルギーを2030年までに現状の3倍に増やす方向性を明記し、電気自動車(EV)などZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)や二酸化炭素(CO2)の低排出車の導入加速も盛り込まれた。最後までもつれた化石燃料の扱いをめぐっては、30年までを念頭に「公正で秩序ある方法で、脱却に向けた行動を加速させる」との文言で折り合った。化石燃料の扱いに触れたことは前進だが、欧米などが求めていた「化石燃料の段階的廃止」との表現は見送られた。
成果文書は、パリ協定のもとで初めて行われた温暖化対策の総点検(グローバル・ストックテイク)の結果を踏まえ、気温上昇を1.5度未満に抑えるためには、25年までに世界の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要があると指摘。削減量は世界全体で30年までに19年比43%減、35年までに60%減とし、50年までに実質ゼロにすることが欠かせないと強調した。
具体的には、①30年までに再生可能エネルギーの設備容量を世界全体で3倍にする②排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減の加速③走行中に温室効果ガスを排出しないZEV・低排出車の導入加速などを求めた。こうした点も踏まえ、35年時点の温室効果ガス削減目標を上積みし、25年までに国連へ提出するよう参加各国に求めた。「35年までに19年比で60%削減」との記述が新目標の目安となる。
日本でも、35年までの削減目標づくりが来年から本格化する見通しだ。
COP28ではこのほか、開幕初日に気候変動によって生じた途上国の「損失と被害」対策を支援する基金の運営枠組みを採択した。日本など主要国から総額7億9200万㌦(約1156億円)の資金拠出が表明された。
次回のCOP29はアゼルバイジャン、COP30はブラジルで開くことも決まった。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月15日号より