日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連、海津博会長、東京都渋谷区)は22日、ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)に顧客トラブルの是正を求めてきた経緯を明らかにした。JU中販連などに寄せられるビッグモーターについての苦情が近年増えていたが、同社は顧客が相談できる電話窓口を設置していなかった。JU中販連では、電話窓口を設けるよう再三要請してきた。新社長就任を機に改めて電話窓口の設置を要請し、18日に和泉社長から返信があったという。
JU中販連は2022年8月下旬にビッグモーター宛てに要望書を出した。21年度に中古車相談窓口に寄せられた約2200件の苦情のうち、ビッグモーター関連が1割を占めるなど目立ってきたためだった。しかも、顧客が相談する電話番号が事実上公開されていなかった。ホームページの中の分かりにくいところに「お客様相談室電話番号」が表示されているが、トラブルになった顧客がここにかけても「相談は受け付けていない」と言われたという。
文書には、苦情の具体例も11例添付した。JU中販連が個別の企業にこのような文書を出すのは異例という。それまでも、同社とは連絡を取ろうとしても、なかなか取れなかったとしている。
22年9月15日付で、営業本部の石橋光国氏(現副社長)から文書による回答があった。「顧客へはきちんと対応しているが、引き続き社内を指導していく」という趣旨のものだった。その後、JU中販連から「問い合わせの電話番号を教えてほしい」と確認の文書を出したものの、返事はなかったという。
23年7月26日に新体制になり、改めて文書で問い合わせ番号を開示するように要請したところ、和泉社長名で「コールセンター」を設置し、責任者として大森孝宏・コールセンター統括次長を任命した、という回答があった。
JU中販連の担当者は「今、中古車業界は信用を失っている」とし、「これまでの経緯を公表し、消費者保護に今後もしっかり取り組んでいく」と情報公開の背景を明かす。経緯を示す資料は、JU中販連のホームページで公表している。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月23日号より