自動車技術総合機構(木村隆秀理事長)は、2024年10月に始まる車載式故障診断装置(OBD)を活用した検査に使うシステムへ点検整備に関する機能の追加を検討している。検査システムの使い道を増やし、システム自体の認知を向上させるのが狙い。具体的な機能は現在行っているプレテストに参加した整備事業者らの意見を参考に詰める。また、OBD検査のプレ運用を23年10月から予定しており、検査開始までの間にシステム利用の習熟度を高めてもらう狙いもある。
同機構は21年10月から各都道府県の自動車整備振興会や検査所でOBD検査のプレテストを主催している。車両から読み出した故障コード(DTC)が保安基準不適合を示す特定DTCに該当するかを判定する「特定DTC照会アプリ」の試作品などを用いて、整備事業者らの参加者がシステム利用に必要な事業場IDの申請と利用者登録に加え、完成検査の体験を提供している。プレテストは22年1月末までのスケジュールでの完了を予定している。
検査システムの点検整備に関する機能は、自動車メーカーが提出する保安基準不適合を判定する仕組みを検査以外の診断にも幅広く活用できるようにするものとなる。検査と点検整備を同一システムで運用するため、システムの利用者登録で自動車検査員とその他の整備要員を分類することで、機能を制限する仕組みになる見通しだ。
また、特定DTC照会アプリが対応する基本ソフト(OS)は、まずはウインドウズのみだが、その他のOSにも対応できるようにすることで、対応デバイスを増やして事業者の利便性向上も検討していく。アンドロイドが多い既存の外部故障診断機(スキャンツール)でもアプリが稼働できるようになる可能性はある。
今後、検査システムはプレテストの完了後にアンケートなどで収集した整備事業者らの声を取りまとめ、最終的な開発の方向性を決定する。22年度の1年をかけて開発を進め、23年4月にアプリの配布を開始するとともに、事業者からの問い合わせに対応するコールセンターも設置する予定だ。同年10月からはプレ運用として実際の環境でシステムを使用できるようにし、点検整備の機能を用いてシステムの習熟度を高めてもらう。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)11月25日号より