国土交通省は、スイスのジュネーブで14~16日に開かれた国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の本会議で、次期副議長に猶野喬自動車局車両基準・国際課安全基準室長が選出されたと発表した。任期は来年1年間。欧州以外の国からの本会議副議長就任はWP29設立後、初めてで、国交省は「積極的にプレゼンスを発揮しながら、自動車基準の国際調和をさらに推進していく」とのコメントを出した。
日本は1998年に欧州以外の国として初めて、自動車基準・認証の国際調和・相互認証を目的とした多国間協定「1958年協定」に加入し、基準づくりの議論に加わった。その後、電動化や自動運転など、基準づくりの重要性が増すに連れて、日本としても積極的に議論に加わる必要があると判断。2016年には、自動運転技術に関する基準化と標準化の作業方針を国内ですりあわせる「自動運転基準化研究所」を立ち上げ、官民で連携する体制も整えた。
こうした活動の成果が実り、最近ではWP29傘下の分科会や専門家会議で議長や副議長を務め、自動運転車や電動車の国際基準案づくりなどをリードしてきた。こうした実績を踏まえてWP29の次期副議長に立候補し、このほど選出された。
本会議の副議長は、議長役を代行したり、議題を設定するなどの権限を持つ。細かい規則の決定は下部組織の投票で決まるが、本会議は「WP29の方向性や運営など、より高いレベルで活動する」(車両基準・国際課)という。
本会議ではこのほか、日本が国際基準化を提案した「車両直前直左右確認装置にかかる国際基準」でも合意した。発進時に歩行者などを巻き込む事故を防ぐため、カメラモニターやソナーなどの検知システムも含め、車両近くの前方と側方を確認する装置だ。対象車種は乗用車と小型トラック。23年6月頃に発効を予定する。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月21日号より