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モータースポーツトピックス

千葉トヨペット NASCAR トラックシリーズに参戦10年、初の優勝

異なる文化で幅広い視野

千葉トヨペット(勝又隆一社長)は社内からクルマ好きを増やそうと様々なモータースポーツ活動を展開している。そのなかの目玉がアメリカで絶大な人気を誇る「NASCAR/ガンダー・アウトドアーズ・トラック・シリーズ」へのスポット参戦だ。

今年は2月にフロリダ州「デイトナ・サーキットレースウェイ」で開催された開幕戦に参戦。トヨタ勝又グループを象徴する〝マル勝〟のロゴを纏った「千葉トヨペット・タンドラ」が初の優勝を獲得し参戦10周年の節目を飾った。
NASCARはアメリカンフットボールに次ぐメジャースポーツの一つ。そのなかでもトラック・シリーズはナスカーの本流ともいわれる。禁酒法時代に密造酒をどれだけ早く運べるか競い合ったことに端を発するという説があり、文化として根付いている。同社は2010年から服部茂章氏率いるHRE(ハットリ レーシング エンタープライズ)へのスポンサー支援を通じて参戦し始めた。技能向上はもとより、異なる文化に身を置くことで、幅広い視野を身に付けてもらいたいとする考えから、メカニック2人を現地に派遣する。昨年からはトヨタとレクサスの最上位資格〝トップクルー〟と〝テクニカルエキスパート〟取得者の幹部候補生を派遣することとした。同社は正社員の外国人メカニックが28人と多く、国籍も様々。彼らを指導育成する立場として、異文化のなか、日本語で仕事をすることがどんなに大変か、改めて理解してもらうことで円滑なコミュニケーションを生み出したいとする狙いが背景にある。今回は駒崎史一さん(レクサス柏)と内海広輔さん(レクサス千葉中央)の入社15年目の同期コンビがチームに参加。HREは昨年シリーズチャンピオンに輝いた名門。限られた時間の中でマシンのセッティングを完成させて結果を出さなければならない世界。しかもシリーズ開幕ということもあり、現場はピリピリした雰囲気に包まれていた。
こうしたなか、最初に任された仕事はワイプ(工場内の掃除)。現場での基本を地道に完璧にこなすことで、徐々にチームスタッフとして認められていく。最終的にはチームの別のマシンのディファレンシャルギヤやリアウィングの組み付け、エンジン、パワートレーンの載せ替えなど高度な仕事を任されるようになった。
二人に帯同した店舗支援部技術サポートグループの上村知輝グループ長は「現場は英語のみ。勝負の世界独特の雰囲気のなかで精神が鍛えられた。そして何よりも新人の頃に感じたであろう不安や不満を持ったと思う。社内で外国人や新人エンジニアと接する際、どのようなところに配慮したらよいか、効果的に学べた」と総括。現地で得た収穫は優勝と同等、あるいはそれ以上に大きかったようだ。

※日刊自動車新聞2019年(令和元年)6月20日号より