塗料各社は、自動車の最新の人気ボディーカラー指標データを発表した。米アクサルタコーティングシステムズ(アクサルタ)は「自動車人気色調査報告書」、ドイツのBASFは「自動車用OEM塗料カラーレポート」を公開。いずれも2019年の市場動向から全世界のボディカラーシェアなどを分析した内容で、両報告書ともにホワイト、ブラック、グレー、シルバーの順で人気が高かった。この4色の無彩色で約8割のシェアを占めた。また、各地域の人気ボディカラーを発表し、エリアごとの人気色を考察した。
アクサルタの報告書ではグローバル市場でシルバーの人気が低下、グレーの人気が上昇した。地域別に見ると、欧州は18年からグレーのシェアが2ポイント上がり、ホワイトを抜いてトップを獲得。同社が設定する世界6エリアで、ホワイト以外のカラーが唯一トップを獲得したエリアとなった。この点について担当者は「グレーは、18年にSUVで人気が高まり、19年はコンパクトとスポーツのセグメントで5%拡大した。ナチュラルなグレーから上品で洗練されたものまで、さまざまなバリエーションが用意されている。安心感を求めて選択するユーザーが増えているのではないか」と分析した。
BASFのレポートは、ホワイトのボディーカラーがアジア太平洋では約50%、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)地域および北米ではそれぞれ約30%のシェアを獲得し、グローバルでトップシェアになったとした。
北米市場のホワイトの色味は、高級車や電気自動車を中心にトレンドが変化。これまで、イエローを含んだ暖色系のホワイトが人気を集めていたが、ブルーを含むパール質感を持った寒色系への移行が進んだ。
日本では、日本流行色協会(JAFCA)が自動車の内外装のカラーデザインを審査するオートカラーアウォードを実施。19年は「ポリメタルグレーメタリック」を採用した「マツダ3」「CX‐30」がグランプリを獲得した。わずかにブルーを含んだ新しい質感を表現した点が評価され、世界的なグレー人気の一端を示した。
無彩色4色が世界的な定番カラーとなる一方、レッドやブルーなど有彩色の個性を求め、カーライフを満喫するユーザーも存在している。
BASFのレポートは、小型モデルのボディーにカラフルなバリエーションが設定される傾向が強いとした。また、EMEA地域で有彩色のシェアが増加しており、特に欧州では25%程度のクルマが有彩色を採用したという。有彩色の中ではベージュの人気が高まっており、担当者は「親しみやすい外観へのニーズが高まっているため」と説明する。
アクサルタは「オートモーティブ・カラー・オブ・ザ・イヤー」というボディカラーのトレンド提案を行っている。同社は20年には、自然界の水や海などから着想したブルー系の新色「シーグラス」を提案。ブルー系は世界シェアの7%を占めており、シルバーに次ぐ5番目に多いボディカラーとなっている。さらに、北米と欧州ではそれぞれ、10%のシェアを獲得し、人気を集める。
シーグラスは、コンパクトからトラックまで使用できる汎用性を追求しつつ、深みのある色彩を発揮する色を目指したとした。