乗用車の先進緊急ブレーキシステム(AEBS、衝突被害軽減ブレーキ)に関する国際基準が2020年初めにもまとまる見通しとなった。これを受けて、日本や欧州連合(EU)などでは、AEBSの装着義務化を検討することになる。早ければ22年にも、AEBSの装着義務付けが始まるものとみられる。
国連欧州経済委員会(UNECE)は12日、「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」の下部組織である自動運転専門分科会で、AEBSの基準案に合意したと発表した。
日本とEUが主導して議論してきたもので、今後、6月にはWP29で基準案が承認されて加盟各国に通知され、異議がなければ6カ月後に国際基準として成立する。国際基準化以降、加盟国では基準に基づいた装置の装着義務化を検討することになる。これは加盟国独自の判断となる。
ただ、今回の合意は、WP29加盟国のうち米国やカナダ、中国、インドなどが加盟していない「国連の車両等の型式認定相互承認協定(1958年協定)」の加盟国・地域によるもの。米国などが合意に加わるためには、「国連の車両等の世界技術規則協定(1998年協定)」の加盟国を含めた議論が必要になる。
UNECEによると、この装置の義務付けで低速での追突事故が38%減り、EU内では年間1千人以上の交通事故死者を減らすことができるとの調査結果があるという。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)2月14日号より