国土交通省は17日、国交行政全般にかかわる中期的な技術政策の方向性を定める次期「国土交通省技術基本計画」の策定に向けた議論を開始した。社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会の技術部会を招集。2022年度のスタートを目指す第5期計画づくりの方向性などを議論した。21年度に終了する現行の5カ年計画では自動運転やMaaS(サービスとしてのモビリティ)などの技術課題が盛り込まれた。次期計画でも政府が目指す50年のカーボンニュートラルなどが前提の一つになるとみられ、自動車分野でも引き続き新たな目標が示されそうだ。
次期計画策定に向けたキックオフとなる今回の技術部会では、議論の土台となる視点や論点を話し合った。現行計画を策定した4年前と今を比べた大きな社会変化も取り入れる方向で一致。脱炭素化の加速に加え、新型コロナウイルス感染症を契機に見込まれるライフスタイルの多様化も考慮していく。激甚化・頻発化する自然災害や少子高齢化といった要素にも対応できる中期的な政策や技術開発の礎としていく。
今後の検討プロセスでは同部会の傘下に設けた詳細なテーマについて取り上げる「基本政策懇談会」での議論内容も取り入れる。同懇談会はこれまでに17回開かれており、昨夏までに2度の取りまとめを行った。現在、3度目の取りまとめを詰めている段階で、この成果も次期計画づくりに生かす。
また、同部会では現行の第4期計画についてのフォローアップも進めていくことも確認した。現行計画では「ETC2.0」のビッグデータを活用した渋滞対策や自動運転関連など全151件の技術課題が示された。今後、このすべてについて進捗状況などを検証し、好事例を共有していく。フォローアップの結果についても、次期計画の議論にも取り入れ実効性のある中期的な指針を定める。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)3月18日号より