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よくわかる自動車業界

自動車業界入門 ⑱自動運転

   車載システムが人間の運転操作を代行する「自動運転技術」は、ユーザーの利便性向上に加え、ドライバーによって異なる運転技量の優劣を解消することで交通事故や渋滞解消につなげる技術として、世界中で開発が進んでいます。すべての操作を常にシステムが担う「完全自動運転(レベル5)」の実用化にはめどがついていません。しかし、センサーで車両周囲の情報をつかみ、緊急の危険回避が必要な場合に自動でブレーキをかけるなど、自動運転の要素を切り出した先進運転支援システムはすでに多くの車が搭載しています。

   自動運転は、システムがどこまで自動化されたかによって「0(ゼロ)」から「5」まで6段階のレベル分けがされています。

 まず、システムが加減速とステアリング両方の運転操作を手伝う「レベル2」は、車の運行責任をドライバーが負うため、先進運転支援システムに分類されます。日産自動車が2016年、「セレナ」に初搭載した「プロパイロット」などが相当します。

   政府は高度な自動運転を重要テーマに掲げ、世界をリードする技術の実用化に取り組んでいます。4月1日には道路運送車両法などを一部改正し、緊急時を除き限定された条件下でシステムがすべての運転操作を担う「レベル3」を解禁しました。年内にレベル3対応車の投入を計画する自動車メーカーがあります。

   限られたエリアや運行経路で完全自動運転を実現する「レベル4」は、ドライバー不足が続く路線バスや交通機関が乏しい過疎地での活用が期待されています。乗用車に先行して実用化が進む見通しです。さらに、高速道路などで人が運転する有人車両に複数の無人運転車を追従させる「隊列走行」が、トラックの運転者不足を解消する技術として期待されます。

   高精度なデジタル地図、死角にいる車や人を知らせるインフラシステムの開発も、自動運転の安全確保で重要な鍵を握ります。

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)5月18日号より