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よくわかる自動車業界

自動車業界入門 ㉟自賠責保険

自賠責保険は、自動車事故で他人を死傷させた場合に被害者を補償して救済するための保険です。1955年に自動車損害賠償保障法が施行され、制度がスタートしました。すべての自動車の保有者へ加入が義務付けられており強制保険とも呼ばれ、保険未加入の状態で公道を運転すると法令により処罰の対象となります。

 販売は、自動車ディーラーや損害保険会社の窓口で行っており、250cc以下のバイクは一部の郵便局窓口、コンビニエンスストアなどでも加入できます。補償内容は2002年に改定され、けがによる損害が1人当たり最大120万円、後遺症による障がいは14段階で75万~4千万円、死亡事故の場合は最大3千万円までとなっています。ただし、事故で他人に損害を与えた場合の救済を目的としているため、運転者自身のけがや自動車の修理代、物への損害には保険金が支払われません。これに対し、任意保険と呼ばれる商品は、対人賠償額が最大補償額を超過する場合や自賠責保険がカバーしていない分野を補償します。

自賠責の保険料は、損害保険料率算出機構が設定する基準料率に準じて決定されています。基準料率は、保険会社から収集した契約、支払いデータを参考にしており、自家用、業務用などの使用目的と乗用と貨物、普通、小型、軽といった自動車の種類を組み合わせ、異なる料率を設定しています。これは自動車の使用環境や種類によって事故が発生する頻度や被害に差があるためです。また、北海道、本州、四国、九州などの地域によっても料率は変わります。20年4月には、交通事故が減少したこととそれにより留保していた保険料に余裕ができたことなどから保険料率の改定が行われ、従来から平均で16.4%値下がりしました。

保険期間は自動車の場合、車検の残り月数に応じて1カ月から37カ月まで加入可能です。なお現在は、新型コロナウイルスの影響で、継続契約の締結手続きと保険料の払い込み期限が特別措置として猶予されています

※日刊自動車新聞2020年(令和2年)6月17日号より