自動車業界はいま、大きな変化のうねりのなかにいます。車そのものはもとより、産業構造、技術、流通、サービスに至るまで、進化の波にさらされているといっても過言ではないでしょう。そうした自動車業界に今年度も数多くの新入社員が加わりました。これにあわせ、日刊自動車新聞では、キーワードに沿って業界の全体像をわかりやすく解説する恒例の企画「新人歓迎 自動車業界入門」をスタートします。新入社員だけでなく、多くの読者のご参考になれば幸いです。
環境規制の強化に伴う電気自動車(EV)シフト、自動運転技術の高度化、シェアリングの普及、IT技術の進化―。自動車産業は、100年に1度ともいわれる大転換期に突入しています。
自動車は1908年に米フォード・モーターが「T型フォード」の大量生産を開始したことで、人々の手に届く存在となりました。米国では長距離、高速移動を容易にし、人やモノの移動を活発化して社会に大きなインパクトを与えたとされています。
それから100年が経過した今日、自動車業界は自らが生み出してきた課題への対応に迫られています。自動車が排出する二酸化炭素(CO2)などは、環境に大きな負荷をかけてきました。歯止めをかける意味でも、電動化には期待がかかっています。
交通事故による犠牲者は年間130万人に上ります。自動運転車になれば、事故の原因の大半を占める人為的ミスをなくせるといわれています。
消費者も変化しています。全てのモノがインターネットにつながる時代が到来し、時間や場所を問わず、さまざまなマッチングが可能になりました。車も例外ではありません。
これらの変化はコネクテッド(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)の頭文字をとって「CASE」ともいわれます。これらが仮に全て実現した場合、車両を保有することなく、自動運転車で好きな時に、好きな場所に移動できるようになります。T型フォードによって米国にいたほぼ全ての移動用途の馬がクルマに置き換わったように、CASEは私たちの移動や社会を大きく変える可能性を秘めています。
※日刊自動車新聞2019年(平成31年)4月22日号より
(この続きはMobi-Naviメールマガジン連載「就活あれこれ 自動車業界とは」に5月7日号以降暫く展開します)