インターネットを通じて外部と情報をやりとりしながら走る車のことを「コネクテッドカー」と言います。いわゆる「つながるクルマ」です。車載通信機(DCM)やスマートフォンを使って車と情報をつなぎます。
自動車は走りながら多量のデータをやり取りすることが苦手だったためネット化が遅れていました。この10年ほどの通信インフラの進歩によって、ネットワークへの本格参加が可能になりました。
ドライバーのメリットは、まずつながることで得た道路情報や天候などを走行システムに反映して、より安全で快適に移動できるようになることです。スマホを使い駐車場の車を自動運転で目の前に呼び出すというアイデアもあります。
またF1マシンは走行中、クルマの状態をピットにリアルタイムに無線で伝えてトラブルを管理していますが、これと同様にマイカーと整備工場がつながり故障などを把握してもらえるようになります。「OTA(over the air)」という無線通信で車両ソフトウエアを更新する機能もあり、スマホのように機能や性能をアップデートできます。
つながるメリットは、自動車メーカーにもあります。車の使用状況と部品の耐久性の関係をつかんだり、運転操作を分析して安全システムに反映するなど、開発に役立てられます。さらにたくさんのつながる車から得た情報がビッグデータとなり、さまざまなビジネスを生み出すきっかけになることが期待されます。
国内自動車メーカーでは、トヨタ自動車が18年にコネクテッドサービス「T-コネクト」を開始したほか「ホンダコネクト」や「ニッサンコネクト」などのサービスが展開中です。各社は携帯キャリアなどと協力してコネクテッドカーの利便性向上に取り組んでいます。
コネクテッドカーの普及が加速していますが、つながることで遠隔からの「車の乗っ取り」などサイバー攻撃のリスクが生じます。セキュリティーの担保がつながる時代の車の重要課題です。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月23日号より