世界的にカーボンニュートラルの潮流が大きくなる中、自動車の燃費に対する関心が一段と高まっています。電気自動車(EV)がラインアップの拡大に伴い販売台数を伸ばしています。しかし、本格普及のハードルが依然として高いため、当面の主流は従来同様、内燃機関(ICE)を搭載した車になるとの見方が強いです。
燃費性能に優れた効率的なICE車は、二酸化炭素(CO2)の排出が少ないため環境保護に貢献します。そのため、日米欧をはじめとした各国は、燃費基準値を設け自動車メーカーの技術開発を促進しています。
日本では1979年に制定された通称「省エネ法」を基に燃費基準が定められます。自動車メーカーは目標年度までにその基準値を上回る性能の確保が義務付けられます。
日本では燃費を国際的な試験基準「WLTCモード」と呼ばれる方法で測定します。市街地や郊外、高速道路というそれぞれの走行条件で燃費を試すことで、従来の「JC08モード」と比べより実走行に近い燃費測定ができます。2018年10月以降に発売された新型車から、この測定方法に基づく燃費表示が義務化されました。
政府は10年先(30年度)の乗用車の燃費基準を25.4㌔㍍/㍑に設定しました。16年度実績と比較して約3割の燃費改善を求めています。基準の達成は自動車メーカーごとに販売した車両の平均燃費(企業別平均燃費)を計算して調べます。ガソリン、ディーゼル車のみならずEVなどの電動車も計算対象に含まれます。
その消費エネルギーの算定では、燃料や電気の製造にかかる環境負荷を考慮した「ウェル・トゥ・ホイール」(油井から車輪まで)のコンセプトを取り入れます。国土交通省によると、この方式で日産自動車のEV「リーフ」の燃費を計ると40㌔㍍/㍑以上になるそうです。EVなどの販売を増やせばその分、基準達成が楽になるため、電動車の販促が進むと予想されます。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月10日号より