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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ⑮自動車整備

自動車整備は分解整備と車体整備(板金・塗装)に大別できます。分解整備はエンジンやブレーキなどを取り外して行うもので、設備や人員などの条件を満たし国の認証を取得する必要があります。そのうち検査ラインなどを備え車検ができる工場を「指定工場」と言います。一方、車体整備では事故で破損したボディーやシャシーを元の状態に修復します。特に認証は必要ありません。一般的に不具合がある時には分解整備、事故を起こした時には車体整備の工場に車を預けます。

 自動車整備制度には、2020年4月に自動運転に関わる装置の取り外しや、その作動に影響する整備や改造を行える「電子制御装置整備」の認証が追加された「特定整備制度」として新たにスタートしました。電子制御装置整備は自動車技術の高度化に伴うもので、主に修理の時にバンパーやグリルを脱着する車体整備事業者や、ガラスの脱着を行うガラス交換事業者など、センサーやカメラの取り付け場所となる部品の作業にかかわる事業者も認証取得が求められています。

最新の統計によると、約9万1500カ所の認証工場で整備士ら約40万人が働いています。少子高齢化による社会構造の変化でいずれも最盛期から減少しています。ただ、整備需要については、新車販売台数がピークから減少したものの、車両使用年数の長期化などによる保有台数の増加と法律で定められた定期的な点検・車検の仕組みで安定しています。こうした状況が後継者や整備士のなり手不足の問題と相まって、業界の働き手がひっ迫する要因の一つになっています。

一方で、車体整備では、緊急自動ブレーキなど先進運転支援システム(ADAS)の普及で事故が減ったため、入庫台数も減少しています。ただ、後継者やなり手不足は分解整備と同様に課題となっています。さらに車体整備は車体の新素材採用などで難しい作業が増えました。部品脱着に必要な電子制御装置整備の認証追加も死活問題で、整備事業者には解消すべき課題がまだたくさんあります。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月20日号より