自動車の使用度合いに応じた消耗品の定期交換や、修理で必要となるのが補修部品です。大きくは自動車メーカーが推奨する「純正部品」と、部品メーカーが販売する「優良部品」に分けられます。さらにその中でも、純正部品よりも廉価な「第二純正部品」や、中古部品を再生して使用する「リビルド部品」などがあります。優良部品においては、日本自動車部品協会(JAPA)が「自動車優良部品推奨制度」を設け、品質の担保に努めています。
純正および第二純正部品は、部品メーカーから自動車メーカー系部品販売会社を経由してディーラーや地域部品商、整備工場に卸されます。優良部品は、同じく部品メーカーから専門商社、地域部品商を経て、整備工場や給油所、用品店などに届けられます。
全国の地域部品商をまとめる団体に、全日本自動車部品卸商協同組合(全部協)があり、共同購入事業やデッドストック(長期間売れ残った在庫品)の組合間売買などに取り組んでいます。納入先となる整備の現場では「特定整備制度」への対応が急務となる中、地域部品商の間でも自社の作業場で特定整備認証を取得するなど、地域の整備網をバックアップする動きが広がっています。
近年ではドレスアップや性能向上を目的とした高付加価値パーツや、一旦、補修部品の生産が打ち切られた絶版車向け復刻パーツに注目が集まっています。カスタマイズメーカーや自動車メーカー系チューニング企業が積極的にアイテムを拡充しています。
自動車が走行している限り需要が発生する補修部品ですが、エンジンがないため部品点数が少ない電気自動車の普及によって、交換機会が減少することが心配されます。部品の長寿命化も交換率の低下につながります。各社はデジタル技術を活用した在庫管理・受発注システムの構築で生き残りを図っているほか、販路開拓に向けて専門商社などが部品輸出を積極化しています。