カー用品はカーナビゲーションなどの電装品や、タイヤやオイル、バッテリーをはじめとする消耗品など種類も価格帯もさまざまです。ドリンクホルダーや芳香剤などの車内小物は時代を超えた人気商品です。また〝あおり運転〟の抑止に役立つドライブレコーダー、誤操作による事故を防止する踏み間違い急発進抑制装置など、新しいニーズに応える商品群が絶えず登場するのも用品業界の特徴です。用品店や給油所、ディーラーなどの販路に加え、近年は電子商取引(EC)で存在感が高まっています。

足元では巣ごもり消費を追い風に洗車用品やDIY用品が好調です。自動車用品小売業協会(APARA)がまとめた2020年度の用品売上高は前年比0.4%増の4021億円でした。このところの市場は年間4千億円規模で推移していますが、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展や将来の保有台数減少が、用品業界に影響を及ぼすとの見方が根強くあります。

こうした中、用品小売りチェーンでは、車検・整備事業を強化してサービス収益を引き上げるとともに、顧客との接点を増やして取り扱い商品の増販を目指す動きが加速しています。電装品やタイヤなどのメーカー各社も、通信機能や走行データを利活用した新商品や継続的なサービスを投入するなど、従来の売り切り型ビジネスモデルからの脱却を図っています。

一方で自動車ディーラーでは、新車販売時の客単価を上げる施策の柱として、用品提案を強化する動きが広がっています。各社は人気の高い内外装用品などをパッケージ化して付帯率向上に取り組んでいます。メーカー系チューナーが手掛けるカスタマイズパーツなども、ドレスアップや性能向上の観点から底堅い需要を得ています。

アウトドアレジャーや車内でのテレワークに役立つ各種用品も「マイカー回帰」の機運に合致し注目を集めています。用品業界ならではの豊富な品揃えと商品投入のスピード感が、コロナ禍を経て再確認されています。